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役員に対する社宅貸与で節税できる理由

会計士のkatsuki(katsuki_jp)です。

前回、従業員に対する通勤手当の支給にはデメリットが多すぎるため、社宅貸与に変更することを提案しました。

前回の記事は下記を参照してください。

通勤手当ではなく、社宅を貸与すべき理由

今回は役員に対する社宅貸与のメリットと非課税要件について解説します。

役員に対する社宅貸与のメリット

役員に対して給与を支給すると当然ですが、所得税及び社会保険料が課税されます。

しかし、役員の住居を会社が賃貸借契約し賃貸料相当額(後述)を役員から受取ることで、所得税及び社会保険料が課税されません。

この非課税のメリットについて解説します。

給与支給と社宅貸与の比較

月額給与50万円、家賃10万円の役員Aがいたとします。
給与50万円のため、50万円に対して所得税及び社会保険料が課税されることとなります。

一方で月額給与45万円、社宅貸与(会社負担5万円、役員負担5万円)の役員Bがいたとします。この場合、一定の要件を充たすことで45万円のみに所得税及び社会保険料が課税され、社宅部分には課税されないこととなります。なお、役員負担5万円は賃貸料相当額(後述)と同額とします。

役員Aと役員Bを比較すると下記のようになります。
(便宜的に所得税10%、社会保険料15%で計算します)

給与5万円を社宅(会社5万円負担)に変えた場合(役員B)の方が会社も役員も圧倒的に得ですね。
これは社宅(会社5万円負担)に所得税及び社会保険料が課税されないために発生する差額となります。

月2万円の差となるため、年間では24万円、10年間では240万円の差となり、これが社宅貸与のメリットとなります。

次に、会社(法人税)、役員(所得税)の非課税要件について見ていきましょう。

社宅貸与を非課税とする要件

会社の非課税要件

役員の自宅を個人ではなく、会社が賃貸借契約し法人契約することが必要となります。
会社が賃貸借契約した住居を社宅として役員に貸付け、家賃の総額から役員から受取る家賃を差し引いた差額が会社負担額として経費に含めることができ課税はされません。

役員の給与非課税要件

役員に対して社宅を貸与する場合、役員から1か月当たり一定額の家賃(賃貸料相当額)を受け取っていれば、給与として課税されません。

賃貸料相当額は、貸与する社宅の床面積により小規模な住宅それ以外の住宅とに分け、次のように計算します。
ただし、この社宅が一般に貸与されている社宅と認められないようないわゆる豪華社宅である場合は家賃が賃貸料相当額になります。

小規模な住宅の定義
小規模な住宅とは、法定耐用年数が30年以下の建物の場合には床面積が132平方メートル以下である住宅、法定耐用年数が30年を超える建物の場合には床面積が99平方メートル以下である住宅
※マンションの場合は建物の共用部分についてあん分する必要があります。

<小規模な住宅である場合の賃貸料相当額>
(1) (その年度の建物の固定資産税の課税標準額)×0.2%
(2) 12円×(その建物の総床面積(平方メートル)/(3.3平方メートル))
(3) (その年度の敷地の固定資産税の課税標準額)×0.22%

この賃貸料相当額の計算は従業員と同じですが、従業員の場合は賃貸料相当額の50%以上を会社に支払っていれば給与として課税されませんが、役員の場合は50%以上の規定はないため賃貸料相当額以上を会社に支払う必要がある点に注意が必要です。

<小規模な住宅以外である場合の賃貸料相当額>
役員に貸与する社宅が小規模住宅に該当しない場合には、その社宅が自社所有の社宅か、他から借り受けた住宅等を役員へ貸与しているのかで、賃貸料相当額の算出方法が異なります。

(1) 自社所有の社宅の場合
次のイとロの合計額の12分の1が賃貸料相当額になります。
イ (その年度の建物の固定資産税の課税標準額)×12%
ただし、法定耐用年数が30年を超える建物の場合には12%ではなく、10%を乗じます。
ロ (その年度の敷地の固定資産税の課税標準額)×6%
(2) 他から借り受けた住宅等を貸与する場合
会社が家主に支払う家賃の50%の金額と、上記(1)で算出した賃貸料相当額とのいずれか多い金額が賃貸料相当額になります。

会社が上記で計算された賃貸料相当額を役員から受取ることで、給与として課税されることはありません。

最後に

上記で述べたとおり、役員への社宅貸与には所得税及び社会保険料を節税できるメリットがあります。

社宅の貸与について一度検討してみてください。

なお、社会保険料の非課税要件については述べませんでしたが、役員も従業員も同じ取扱いのため、下記の記事(社宅貸与の社会保険料の取扱い)を参考にしてください。
通勤手当ではなく、社宅を貸与すべき理由

では

katsuki(katsuki_jp)